静かな世界に響く、一つの音

自分の趣味全開で書いていく、そんなブログです。

【物語】世界滅亡というばかげた戯言と俺とアイツ 

「世界が滅亡するってよ」

 どこかの誰かがそう言った。ノストラダムスの予言とか2000年問題とかマヤ文明とかそういったのはもううんざりだった。世界なんて勝手に滅亡してろって話だ。俺には関係ない。机にうつ伏せて腕を枕にし眠ったふりをする。ばかばかしい。なんでそんなことで盛り上がったりできるのだろう。滅亡しようとただ死ぬのが早くなるだけのこと。そんなに怖いのかそれとも話題が欲しいだけなのか。

 ウワサごときにざわつくみんなに問いかけたい。もし滅亡するとなったらどうするのかと。お前は何か行動を起こすのか?世界を救って見せるのか?ちっぽけな存在のお前らがそんなことできるのか?できないだろう。ただその話題で盛り上がりたいだけだろ。自分ならどうする、こうする、そんな妄想を垂れ流し続ける。じゃあその妄想に付き合ってやろう。俺ならどうするか。俺なら……。そう考えようとしたときホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴る。机から顔を離し、黒板に書かれた乱雑な文字を読む。

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【物語】「最後の一日をもう一度だけ」見えない真実 わからない気持ち

 

leo1592.hatenablog.com

 

キンコンカンコン、よくある鐘の音が聞こえてくる。

私は机にノートを広げながら考えていた。彼女、ゆいは今日の夜、交通事故によって死ぬ。そう思うだけで背筋が凍る感触が鳥肌となって現れる。恐れてる場合じゃない、助けるんだ。そう心を奮い立たせこれからの行動を考える。放課後までは普通に過ごしていいだろう。事故は夜に起きる。ならそのとき私がそばに居れば防げるはず。ゆいと別れたあと、そのあとを追うように見張り続ける。きっと何かの用事で外に出てきたところで事故にあったはずだから、そこを助ける。それでゆいは救われるはず。今の私にはこれくらいしか考えつかないけど、きっと助けて見せる。いろいろ考えていたら一時限目が終わっていた。

放課後、ゆいと並んで帰る。ビデオテープを巻き戻したのようにあの日を忠実に再現されていた。たわいのない会話。いつものように寄るクレープ屋。そして分かれ道。

「じゃあね、なっちゃん。また明日!」

そう言って手を振りだんだんと小さくなっていくゆい。

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【物語】青い空は春風とともに 前編

 風を全身で受けるように両手を広げる。耳を澄ますとさわさわと草や葉っぱが身をこする音を感じた。目を開けるとまばらに広がる雲と隙間から見える青いコントラストが何とも言えず、ただ見上げていた。ときたま差し込む太陽に陽が肌を熱くさせる。その心地よい暖かさが春の始まりを告げていた。

 視点を上から下へと移動させる。そこにはこの町がすべて見渡せるような光景が広がっていた。町が一望できるといえば聞こえはいいが、この景色を見てもそうは思えなかった。黒、茶色、白、いろんな色が混ざり合っていてそれはカオスとでも言うような情景を生み出していた。

 僕はこの町が嫌いだ。だからかもしれない、この風景が汚れて見えるのは。この丘は町が見渡せるスポットとして隠れた人気を持っている。でも僕が見に来たのはここから見える空だった。町で一番高い場所で見る空はそこら辺の家の間から見る空よりずっと高く見えた。おかしいだろう? 高い場所から見てるのにさらに高く見えるなんて。でもそう感じたんだ。嫌いな町と好きな空が一緒になって見える場所。そんな両極端なところが僕の心に似ているなと思う。嫌いな学校そして好きな――。

「けーちゃん、待った?」

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【物語】思い出とタイムマシーン

引っ越しの準備

部屋の中には段ボールの箱がいっぱいだった。

「えっと、これはこっちの段ボールに入れて、これは――」

押入れから色んなものを取り出し、種類ごとに分けていく。元々片付けはそんなに好きじゃない。そのせいで押入れの中はごちゃごちゃになっていて、今になって後悔する。しまうときにもっと整理しとけばよかった。次々と段ボールに放り込んでいく中、押入れの中にあるものを見つける。

ここにしまってから一度も開けられていない段ボールに入ったままの箱、側面には大きく<思い出>と書かれていた。わたしはちょっと気になり手を休め、その箱を開けてみることにした。持ってみると中々重く、もっと小分けにして入れておくべきだろうと思った。

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世界樹の迷宮5 妄想ストーリー5章「戦いの幕開け そしてデウス・エクス・マキナ」

 

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迷宮の歓迎

「はぁはぁ、キリがないわね……」

汗が止まらない、迷宮がこんなに厳しいとは。

「いま何体め~?」

前衛で戦っているユンが疲れたような声で言う。

「……五体め」

いつも通り寡黙だが、前衛と後衛の間でバランスよく戦って疲れているはずのナナミ。

はじめてのモンスター

迷宮に入って数刻もしないうちだった。

草むらからぴょんと飛び出してきて、あっ、目の前にモンスターがいる!という感覚で戦った。

しかし、それが罠だということに今更ながら気づく。

わざと姿を見せて、時間差で周りからじわじわと追い詰める。

そういうタイプのモンスターだった。

最初のモンスターを倒した時には新たなモンスターが前と後ろから来た。

まるで狙ったタイミングのように。

うかつだった。

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自然と環境 普通と特別

自然とは一体何なのか。

話すこと、書くこと、体を動かすこと、それらすべて自然にできるようになっている。

それは意識しない間に学んだことだからだ。

生まれてからずっと話されていればきっと話すようになるだろう。

生まれてからずっと文字の書き方を見ていればきっと書けるようになるだろう。

生まれてからずっと体を動かし続ければきっと身体能力は普通より高くなるだろう。

しかし意識しないで学んできたことはそれ以上進化はしない。

なぜなら自然の中では特別に秀でた人が環境にいないからだ。

同じ環境の中でずっと育つと、能力に高い低いがあっても誤差の範囲でしかない。

その中で高い人物を集めさらに高めようにするのが特別な人を生むのだろう。

だが、環境の問題だけではない。

回りの能力が高ければおのずと高くなるなら差なんてものは生まれない。

同じ環境の中で自分から物事に取り組むということを始める人が現れる。

それはもう自然ということではない、自分の力で立ち上がることになる。

それに高い環境があれば、さらに力を高めることが出来る。

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よくある意見の対立、話し合い、そしてその果てに

一人の傍観者の観測

「話し合いをしましょう」

そういって話し合いを始める。

私は話し合いが嫌いだ。

話し合って解決するなら話し合う必要すらない。

話し合いが必要ということは両方の意見が食い違っている場合に起こる。

さてここで問題だ。

全く違う意見なのにどうやって両者が納得できる結果が得られるのだろうか?

片方はプラスの方へ、もう片方はマイナスの方へ話の方向が行っている。

終着点なんてない、ただそこには話し合いという名の自分の意見の押し付け合いがあった。

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