静かな世界に響く、一つの音

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世界樹の迷宮5 妄想ストーリー4章「冒険の物語がいま動き出す」

 

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アルカディア評議会

目の前にある巨大な建物は見るものを圧倒させる。

街の中心地にあり私たちは今その場所にいる。

「サーちゃん、なんだかおっかないとこだね」

ユンがいうことも分かる気がする。

ここは今までの街並みと違う。

建物の前に門番が二人立っている。

感情を見せない兜の向こうはどんな表情をしているのだろうか。

「行きましょ」

「……うん」

「あっ待ってよ」

足並みをそろえて門へ近づいていく。

「止まれ」

鋭い声が響いた。

「冒険者か?」

尋ねるようにではなく疑るように言う。

「はい、迷宮の許可証をもらいにきました」

フンとでもいうように鼻を鳴らし道をあける。

「入れ」

そう一言だけ言い残すと元いた場所へと戻っていった。

「うぅー」

「……」

ユンは唸るような声にもならない声を出しナナミはじっと扉を見つめている。

 

「許可が下りたことだし入りましょ」

交互に二人を見て歩き出す。

門を開けたのか元々開いていたのかわからないが触れるだけで音もせず開いた。

外見から想像した通り入った中は広かった。

大理石の床にこれから行く先を示すように石像が並んできた。

コツコツと床を鳴らしながら歩いてく。

評議会の長

上から声が聞こえた。

「ようこそ冒険者の諸君」

優しげな声で一人の少年が階段の上から話しかけてきた。

ぐるりと円を描くように二階から私たちのいる一階まで続く階段を降りてくる。

歩くたびに少年の後ろにあるマントがひらひらと揺れ動く。

そして最後の一段を降りるともう一度私たちに言う。

「冒険者たちよ、ようこそわが評議会へ」

それを聞いて思い出したように私たちの用件を言う。

「あの私たち、迷宮の許可証をもらいにきたのですが」

「そう……君たちもなんだね、ここには数えきれないほどの冒険者がやってくる。そして数えきれないほど迷宮で消えていく」

まるで独り言のようにつぶやく。

「わかった、君たちに迷宮に挑むための最初のミッションを与える。全部で三つ。一つ、ここにある羊皮紙に迷宮の一階の地図を書き込むこと。二つ、世界樹の木の根を取ってくること。三つ、一階の最深部にある土を取ってくること。この三つのミッションをクリアすることができれば君たちをこれより先に進む許可を出そう」

そう言っていつの間にか隣に執事のような人が現れた。

「これが羊皮紙でございます、それではご武運を」

受け取った羊皮紙はごわごわしてて何かを書くには向いてなさそうな感じだった。

迷宮へ

迷宮の地図に世界樹の根に土とこれらは何かに利用することができるのかしら。

疑問に思いながら、私たちは街の中を歩いていた。

「……これからどうするの、今すぐ迷宮へ?」

ナナミが何かを考えているように聞いてきた。

「そうね、準備だってここに来る前に揃えてきたし、問題ないんじゃないかしら」

私たちは評議会に行く前に迷宮で必要そうなものを一通り揃えていた。

「じゃあ、さっそく行こうよっ!」

ユンは早く体を動かしたくてたまらないとでもいうようにそわそわしていた。

私たちは迷宮に向かうことにした。

「これが迷宮の入口……」

ぽっかりと空いたその先は暗くて何も見えない。

「……行こう」

ナナミを先頭に歩いて行く。

ナナミの目は特殊で暗闇でもよく見えるらしい。

しっかりとした足取りがそれを示している。

私とユンはナナミの後をついていく。

歩いて数分だろうか、時間の感覚が分からなくなっていたが、ようやく光が見えてきた。

「……っ」

暗いところから眩しいところに出たので目が開けてられなかった。

しばらくすると慣れたのか、あたりを見回せるようになった。

「うわー」

隣にいたユンが感嘆の声をあげる。

そこには眩しいくらいの緑が広がっていた。

準備はいいかしら

ついにここまでたどり着いた。

だけどまだこれは始まりだ。

「武器の準備はいい?いつ魔物が出てくるとも限らないから」

「うん」

「……うん」

二人とも獲物を片手にうなずく。

ユンは日本刀のようなカタナ、ナナミは自分の丈ほどある大きな鎌、そして私は中世でよく使われたブロードソードを片手に迷宮に挑む。

 

つづく?

 

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