静かな世界に響く、一つの音

自分の趣味全開で書いていく、そんなブログです。

世界樹の迷宮5 妄想ストーリー1章「彼女は冒険を求め、その大地へ」

これは5人の冒険者によって綴られる冒険譚である。

世界樹の迷宮5の世界を元に私が勝手に脚色した、物語である。

この先ネタバレやストーリーの違いなどあるかもしれないが、ご了承願いたい。

それでは、彼女たちの始まりの物語を見てみよう。

目の前に広がる景色

「やっと見えてきたわね」

彼女は大きな盾を片手に持ち、息を弾ませながら辺りを見回す。

見上げると大きくそびえ立つ世界樹、その下に根のように広がる街の姿が見えた。

歩くたびにガチャガチャと鎧がこすれる音を気にも留めず街へと足を運ぶ。

ちょっとした高台から下って、十数分歩いたころだろうか、やっと街の門らしきものが見えてきた。

「アイオリス……この街の名前かしら?」

門の横にアイオリスと書かれたところどころかすれた、いかにも年季が入った看板が立っていた。

門をくぐると、そこらじゅうに冒険者たちで溢れかえっていた。

市場から聞こえる活気のある声、冒険者同士のたわいのない話、そんなのを右から左へと聞き流しながらとある場所へと向かった。

 

仲間を探し求めて

「ここで合ってるのよね」

少し古風な建物だが、手入れは良く行き届いている。

外観から見てもそれは伝わってくる。

立札に冒険者ギルドと書かれている。

私は、扉に手をかけ勢いよく押した。

ギィと音を立てながら、重々しい扉は徐々に開いていく。

中はほこりっぽいのかと思いきやしんとした空気に包まれていた。

辺りを見回すと、中央に中世風のインテリアが飾ってあるテーブルが目に入る。

その横に全身甲冑を着た人が立っている。

この人がギルドの人なのだろうか?

私が口を開く前に向こうから話しかけてきた。

「お前もこの世界樹に挑む仲間を探しに来たのか?」

その姿からは想像できないような優しげな声で語りかけてきた。

「はい、私はこの街に先に来ている二人の仲間を探しに来ました」

「ふむ、名はなんと言う?」

「私はサクラ、探しているのはナナミとユンと言うものです、三日ほど前に訪れているはずです」

「しばし待たれよ」

そういうとテーブルに向かい、一つのファイルを取り出した。

パラパラとめくり、あるページで手が止まる。

「ああ、確かに三日前にギルド登録されている」

良かった、ちゃんとたどり着いていたのね、胸につっかえていた不安が氷が解けるように消えていった。

「居場所とか分かります?」

「いや、そこまでは把握していない、しかし冒険者ならば大体は黄昏亭で酒を片手に、話し込んでいるだろう」

「わかりました、では黄昏亭に行ってみることにします、ありがとうございます」

礼を言うと外に向かって歩き出した。

「待て、お前はまだギルド登録をしていないだろう?しなければ、世界樹に挑むことすら出来ないぞ」

私は足を止め、振り返る。

「そうでした、すっかり忘れてました」

中央のテーブルにある書類に目を通す。

「ずいぶんと簡単な書面ですね……」

書いてあるのは世界樹の探索によって死ぬことがあっても責任は全て自分にある、といった簡単に言えば探索による被害は自己責任あるという内容だった。

サインをして渡すと、軽く目を通して「うむ、これで君も冒険者の仲間入りだ」そういうと、手をかざして聞き取れないような小さな声で呪文を詠唱した。

たちまちさっきまであった紙は燃えるように消えていった。

「それでは、私はこれで失礼します」

「ああ、また何かあればまた来るといい」

 冒険者の憩いの場へ

私は扉を押しのけ外に出ると、日の光が目に突き刺さる。

「黄昏亭か、果たしてそこにいるだろうか?」

幼なじみのナナミとユン、彼女たちだけが今の私にとって心の頼りだった。

少しの不安を抱きながら、黄昏亭を探し歩く。

「やっと見つけた……」

足は鉛のように重く、空から差す光が茜色に染まっていた。

「うぅ、どうして私はこんなにも方向音痴なの……?」

そう、彼女たちと三日間も遅れた理由はほかでもない、この街にたどり着く間に森でさまよっていたからだ。

来るときは一緒だったにも関わらず、少し食材を調達していたら私は森の中で一人ぽつんと立っていた。

力を振り絞って黄昏亭のドアに手を掛けた。

 

彼女がその先で見た光景とは?

つづく?

 

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