静かな世界に響く、一つの音

自分の趣味全開で書いていく、そんなブログです。

【物語】それは夏の日のこと 空に花が咲いた

 カランコロンと足元でリズムよく音が鳴る。周りの人より少し遅れたテンポで歩く私。生まれて初めて浴衣を着た。その感想として出てきたのは歩きづらいという女の子らしくないものだった。

 たしかに呉服屋で見たとき、普通の服では見ることはない色がたくさん並んでいた。どれもこれもみんなきれいで胸が躍った。その中で水玉模様の空色した浴衣が目に付いた。他にもいろんなものが並んでいるにも関わらず、もうその浴衣しか見えなかった。私はいつもそうだった。みんないいな、どれにしようかなとか悩むことはない。私にとってみんないいは、どれでもいいというもので、それなら買わなくていいと思ってしまう。

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記憶に残ってる昔は時代が良かったのではなく自分で行動してたから良かったんだ

「昔はよかったって感じるかい?」

 誰に向かうわけでもない言葉が辺りを包む霧のようにじっと張り付いた。確かに今に比べれば昔は色々できた。それは若さだとか、勢いだとか、そんな常識必要ないって言って、重心がどこにあるかわからないボールのようにいろんなところを跳ねて回った。それが今となっては懐かしい思い出だ。それに比較して今はどうだ?毎日同じことを繰り返し、眠る。休みの日だって仕事のことを考えると無茶はできない。なんだかすごく保守的になったとは感じないかい?でもよく考えると違う。休みの日の次の日を考えられるようになった。それは未来を見通せるようになった、てことだ。別に予言してるわけじゃない。ただ明日のことを考える。それは現在から未来へと時間を感じられるということ。昔がよかった、て感じるのは現在と過去がくっきりと別れているから思えるからだ。昔の自分に戻ってみるとわかることがある。あの頃は無茶だとか、若さとか感じたことはなかった。そして未来さえも感じられなかった。あるのは今だけ。だから行動できた。今しかないなら何も怖くない。例え悪いことをしても、そんな過去はすぐに消えてなくなる。宿題をやらなくたって怖くなかった。そんなもの明日の自分の押し付ければいい。

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【物語】文学少年とおしゃべり少女 僕←本→少女の三十センチの距離

 一本の木の下で本を読んでいた。いや読むふりをしていた、というべきか。本の開かれたページに書かれている文章を描かれた絵のように眺める。ただそうしていたいのだ。そこに一つの声が落ちてきた。

「何読んでるの?」

 人懐っこそうな声が耳に届く。僕はそれに答えず、ぱらりとページをめくる。当然内容なんて頭の中に入っていない。今、話しかけられているこんな状況で、冷静にいられるわけがない。本で顔を隠しながらぼそりとつぶやく。

「……砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

 本屋で掛けてもらったブックカバーのしたのはそのタイトルが書かれていた。なぜこれを選んだかというとタイトルが目を引いたからだ。僕が本を読む理由なんてないけど、本を買う理由ならある。僕は人の目を見て話せない。それはひどいもので、文字で表すならカタカナと読点がたくさんあるようなものだ。そこで人と目を合わせず、さらに人を遠ざけるため本を買った。もともと誰かに話しかけられるような存在じゃないけど、念には念を重ねた。だが誰かが僕に話しかけてきた。それは僕が張っていた結界にいとも容易く侵入してきた。柔らかい声を聞いたときたぶん、人に好かれるんだろうなと第一印象を受けた。そしてそれは女の子の声だった。

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【物語】少女と白い花とお花畑

 少女は言いました。

「このお花畑はとてもきれいで、今まで見てきた景色で一番心に残りそう」

 そうつぶやくとお花畑に近づいて行きました。花は陽の光を浴び、昨日降った雨がキラキラと輝いていました。少女は服が濡れるのも構わず、お花畑を歩いていきます。その足取りは軽く、自分の背丈ほどある花々たちをかき分けていくように花を押しのけます。少女は知らず知らずのうちに鼻歌を歌い出しました。花たちはそれに耳を傾けて聞いています。

「ららら~らら~♪」

 少し音程の外れた音を微笑ましく感じられます。ご機嫌斜めな少女は自分の立てる音に気づきません。腕で花をかき分けるときにときたまバキッといやな音が鳴ります。それに気づいているのは周りの花だけでした。

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【デレステ】イベント「Near to You」後半戦始まりました それとブログの始まりについて

久々にこういった記事を書きます。最近はずっと物語系を書いてましたので忘れていましたが、デレステに関する記事はもう一か月前にもなるのですね。

さて今回のイベントもMaster+の難易度が出てきました。Lv29です。

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何とか今回もフルコンボできました。スコアはこれ以上伸びないと思うのでランキングがどうなるか心配です。

とまあ、デレステに関する話はこれでおしまいです。記事にするほどの分量がありませんでした……。ここからはこのブログの成り立ちについて話していきたいと思います。

ブログの始まり

 まずこのブログで扱っているのはゲームに関すること、短編的な物語が書かれていること、そしてその他として扱われる記事の大体三つに分かれます。最初このブログを書き始めた当初、ゲームに関する記事一色になるはずでした。しかしここで問題発生です。何を書いたらいいのかわからない。今までいろんなゲームをしてきましたが、それを紹介するというのは難しい作業でした。思うように書けなく、どうしようか悩みました。書くのを止めるというのは考えなかったです。もし更新しなかったらこのまま書くことはないだろうというのが自分の性格を思うと想像できました。

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【物語】空のように移ろいゆく思い そして、

 立ち並ぶ商店街の店たち。人はまばらで昔はあんなのだったのにと思いたくなるような気持ちだった。同じ場所に住んでいても徐々に変化していく町の形がわかる。それはとても悲しいようで寂しい思いが胸の中で膨らんだ。変わっていく町並みを見ていると思い出を壊されゆく感覚に襲われる。この町で育った証、子供のころ遊んだ場所や買い物した場所、小さな記憶が星のように瞬いて消えていく。

 商店街の店と店の間のシャッターでしまっている店の前で子供が一人立っていた。ちょうど小学生になりたてのような体をしていた。人はそれを気にせず通り過ぎていく。それもそうか、と思い子供に近づく。

「ねえ」

 私は話しかけた。子供はこちらを見上げるようにして口を開く。

「あんたは俺が見えるのか?」

 子供らしくない口調で答える。

「ええ、私は消えてしまった思いの欠片を見ることができるの」

 そう人が聞いたら、何言っているんだこいつは、と思われることを言った。

「そうか、俺の思いを、か。なら一つ聞いてもいいか? もし明日死ぬとしたらどうする?」

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抑圧された思いに爆発する感情

自分が自分らしくあるために行動を起こす。

誰かに否定されようと間違っていると後ろ指さされようと突き進め。

誰かの言葉なんて気にするな。

所詮そいつらは羨ましがっているだけなんだ。

自分の手の届かないところに行こうとしていることに。

だから常識を持ちだして自分が正しいと理解させようとする。

個性が大事とか言いながら結局は自分の手の中に収まるものを欲しがっている。

確かに尖りすぎたものは時には人を傷つける。

しかしそのとげがない限りこの世界に刺激は生まれない。

人々は欲している、新しい刺激を。

だから流行なんてものが生まれる。

人々を惹きつけ離さない魅力的なもの。

それは決して普通の中からは創られることはない。

異端、異常と呼ばれる普通ではない何かが、人を魅了させる。

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